症状と心の問題を解決するホメオパシーの専門家 ライフジャンプホメオパス世良純子です。
実はディレクター21年やりながら10年同時にホメオパシーを勉強したいたのですが、もともとは金沢美大を出ていて、染織科でした。何と、かつては会社やめてガラス作家として受賞、活動していたこともありました。
先日世界的デザイナーの松井桂三さんのアート「Born」展にいってきました。
東京ではコシノヒロコさんと共同で出展していたのですが、大阪は単独開催。
レセプションパーティーもありましたので、その様子を語ってみたいとおもいます。
招待状は最高にバランスが良い三角形
まずDMが届いたときに少し驚いた。
DMラベルが見せられないのが口惜しい、ラベルもふくめて最高に気持ちが良いバランスのシンプルな三角形のDM、奇をてらっていない潔いアイデア。
往年の実力がうかがえる、大きさ、紙の厚みともにグッドバランスで、持つだけでなんとなく気持ちよいサイズ感でした。
松井桂三さんってどんな方?
松井 桂三(まつい けいぞう、1946年9月 – )
広島県出身、在住のアートディレクター、グラフィックデザイナー。大阪芸術大学大学院芸術研究科・デザイン学科教授。松井桂三有限会社主宰。様々な企業・ブランドのアートディレクションを手がけている。
広島県立広島国泰寺高等学校、大阪芸術大学デザイン学科を中退後、高島屋宣伝部に入り広告デザインを多数手がける。独立後、アップルコンピュータ社デザインコンサルタント、政府広報のシンボルマーク、関西国際空港株式会社のシンボルマークなどを手がける。また、ヒロココシノの ブランディングのアートディレクションほか、多岐にわたり上質なデザイン・ブランディングを手がける。 世界各国のデザインコンペティションで多数の賞を受賞し、世界各国のデザインコンペティションで国際審査員を務める。 東京アートディレクターズクラブ [Tokyo ADC]、日本パッケージデザイン協会[JPDA]、国際グラフィック同盟(本部スイス)[AGI]、日本グラフィックデザイナー協会[JAGDA]の会員である。
出典:ウィキペディア
ざっと読んだだけでもわかるように、国際的に活躍されているグラフィックデザイナーさんです。
パリのポンピドゥーセンターにもポスターが飾っているくらい世界的に活躍されている日本を代表するグラフィックデザイナーです。
誰もやったことがないことがやりたい!陶とガラスの融合に5年間挑み続ける
会場の入り口
さすが、モリサワフォントさんからのお花
陶とガラス?まずそれに驚いたのですが、それらの異素材の融合は融点の違いもあり不可能といわれてきました。
陶は熱を加えると土の中の水分が抜け、100℃くらいまで不純物が抜けて収縮しつづける素材。一方ガラスは熱を加えると730℃くらいで溶け始め、約1300℃でどろどろのゴム状になり、温度が下降するとそのまま固まる素材。
この性質の異なる素材を融合させようとすると、収縮率の違いで割れてしまうため、成功させるまでに何度も素材の調合を変え、割れては作り直し、挑戦してきたとのこと。
やっと最近になって形になってきたが、いまだに一つの作品を成功させるのにはいくつもの失敗があり一つの作品がある、とのこと。
話を聞くだけで、陶芸家が「この色はダメだ!」といってガチャ―ンなんて作家自ら作品を割るのを思い出す。
エミールガレの時代には、1つのガラス作品をつくるのに何度も作り直しているから、アンティークがすさまじく高い値段になっていた、なんて話もあるけどまるでそんな感じ。
創作のきっかけは「誰もやったことがないことに挑戦したかった」から。
すでにグラフィックデザイナーとしてゆるぎない地位を確立しながらも、次はアーティストとして5年間も挑戦し続け、成功するとは・・・圧巻。
被爆地、広島への想いをアートに
広島に原爆投下された1945年8月6日に、松井さんのお母さまは被爆されたそうです。
松井先生は、高校卒業まで広島で暮らしていたため、被爆者の暮らしは日常生活の一コマだったそう。
そのため、グラフィックデザイナーとして、アーティストとして「核の脅威」や「平和への願い」というテーマでたびたび作品づくりをしてきたようです。
先生はこの、本来相容れない2つの素材陶とガラスの融合による表現が、「核なき世界の平和」「核の抑止力による均衡」をあらわしているように感じたそうです。
スタイリッシュでありながら生命を感じさせる作品たち
工芸品にありながら、どこか洗練されていて無駄がなくスタイリッシュ
こんな土偶をおもわせるプリミティブな作品も
実物はもっと色がきれいです、鮮やかなピンクとブルー生まれいでるような、湧き上がるような感覚を思わせる
ロゴの巨匠とロゴを愛するデザイナーの超本質的な談義
大御所クリエイターがひしめいていた展示会会場、熱く語り合うも緊張気味の前田さん(左)と巨匠高田さん(右)
松井桂三さんは大阪芸術大学デザイン美術学科の教授でもあります。ブログ界で秀逸なロゴを提供しつづけている前田高志さんも大阪芸術大学出身です。
前田さんは2016年任天堂宣伝部 アートディレクター/デザイナーから独立起業しました。
ラジオ出演もし、バンダンデザインでSNSも教えている有名ブロガ―松原潤一さんの法人化ロゴの制作もてがけました。
前田さんは控えめすぎるくらいに自己宣伝しない方です!
関西のクリエイター大御所が集まっている会場の中、「誰かとお話ししたいね~」とかいっていました。
私が前田さんに「誰と話したい?」と聞くと「え、僕そういうの苦手ですぅ!」というので、な~んも考えずに話しかけにいった方がなんとたまたまCIの大御所でした、なんとラッキーな出会い?
コーポレート・アイデンティティ(英: Corporate Identity 略称: CI)
企業文化を構築し特性や独自性を統一されたイメージやデザイン、またわかりやすいメッセージで発信し社会と共有することで存在価値を高めていく企業戦略のひとつ。CI、CI 計画、CI プロジェクトなどとも呼ばれる。1930年代にアメリカで始まった概念・戦略である。
出典:ウィキペディア
有限会社CID研究所 高田雄吉さん。
大阪芸術大作 客員教授、日本タイポグラフィ協会会員理事、日本グラフィックデザイナー協会会員、New York Type Directors Club会員、日本CI会員 幹事、 総合デザイナー協会 理事、この肩書をみただけでもすごさがわかることでしょう。
まさにCIの大家です。
あ、ついでに実は私ディレクターですがタイポグラフィーで賞いただいた作品があります!(ちょっと自慢)。
前田「ああっ、尊敬してます!僕のロゴ見られたら恥ずかしいっ!」
前田「あの・・・・・、ロゴを作るときに大切なことは何ですか?」
高田「シンボルマークは一生に一度くらいは良いものがなんとかつくれるかも?でもロゴタイプはそうはいかないね」
前田「ええ?何故ですか?」
高田「ロゴをつくるなら文字、タイポグラフィーをしっていなくっちゃだめだね」
世良「具体的にはどういうことですか?」
高田「たとえば あ、という文字。これは 案 の文字からできたもの、じゃあ案からはなれて あ、をくずしすぎて使うと読めなくなってしまう、そのあたりが文字を知っているかどうかだね」
高田「そのあたりについて ロゴロジック って本を書いたんだ」
前田「買います!!!!!」
[amazonjs asin=”4756244254″ locale=”JP” title=”ロゴロジック―実例から学ぶロゴデザイン”]ふ・・・・・、深い!巨匠深い (ノ゚ο゚)ノ オオオオォォォォォォ-!!
手で描いていた時代のデザイナーはバランス感覚が秀逸
私はちょうどアナログからデジタルへ移行する時期に社会人になりました。
その頃はまだ「版下」があり、グラフィックデザイナーは手で描いてデザインをつくっていました。
その頃デザイナーは画面で色を見ずに、数値で色網を指定して、色の仕上がりを頭で計算してデザインしていました。
カメラマンだって画面に映る上下反転した画像をみて写真を撮影していたんです。
今から考えれば神業ですよね?
私は、一昨年遅ればせながらWebデザインの基礎を習い、デザインソフトを使ってみて、昨年末からブログをはじめました。
その時、その機能の便利さと、いとも簡単に「デザインもどき」が誰でも作れてしまうことに驚きを隠せませんでした。
また、Webデザインの世界は、コードはコピペOKで、素材はWeb内にあふれかえっていて同様にコピペOK、Webデザインは時にコーディング能力も求められ、プログラムがわからずコードがかけなければやりたいデザインはできないという現状がありました。
コード?プログラム?手で描いちゃだめ?
ソフトがつかいこなせなければデザインもできないことも知り、カルチャーショックを受けました。
しかも、ネットで検索すれば「高いグラフィックデザイナーに無駄なお金を払わなくて済む」とのコンセプトで、YoutubeやWeb配信動画でデザインソフトを学ばせ「自分で自社チラシをつくってしまおう!」なんて商売まであることを知って、さらに驚きました。
しかし、もっと驚いたのがランサーズ、クラウドワークス。
ロゴ1個10000円、5000円????? はたまたデザインコンペで採用されななければ多くのデザイナーが無給という商売まであり。
デザインはその価値が下がり「誰でも参入できる分安いもの」になってしまいました。
もちろん発注する側の気持ちもわかるのです。
何も知らずにデザイン会社に仕事を頼んだら、思い通りの仕上がりではないのに、莫大な請求がきたなんて中小企業の話もよく聞きますので。
でもそこは、欲しいデザインを仕上げるためにどんなヒアリングが必要か?デザインを作る前の考えを伝えることが、抜け落ちているように感じるのです。
考えを形にする。
それがぬけたままでどうデザインを発注していいかわからない人たちの救済措置?として、
やったことがないけどどんなに安くてもクリティブな仕事がしたみたい人のための場所として、
お手軽簡単、お安くデザイン発注、というしくみは社会に急速に広がりました。
昨今は「デザイナーなんか儲かりませんから、修行していませんが、デザインプロデュースします」なんてWebブランディングも堂々と通っています。
昨今はもう、Webから入る人は本物のデザインを見たことがないのかもしれません。
でも私は知っています・・・・・・・。
手で描いていた時代のグラフィックデザイナーさんは、バランス感覚が秀逸だ、ということを。
そして、昨今デザイン業界からそれらの財産が失われつつある、ということも。
デザインを志す若者よ!
いまこそ巨匠に学べ!!!
あの頃、デザイナーは烏口を使うことからスタートだった。
下積みしなければデザインをするという土台にもあがれなかった。
そのかわり、そのバランス感覚は技術とともにデザイナーの中に息づいて育ってゆき、受け継がれていった。
昨今、修行なんて言葉は流行らないかもしれない。
SNSでもブログでも、会社いやならやめてしまえばいい。嫌な人との仕事はやめてしまえばいい。石の上にも3年なんてダサイ。
そんなつぶやきをたくさん目にするのですが、
技を磨く工芸畑出身で、今は技術を追いかけるホメオパスをしている私は想うのです。
手が使えた時代のグラフィックデザイナーは究極アートにたどり着くことができるけれど、今のPCコピペから入るデザイナーはいったいどこへ辿り着くのだろう・・・・と?
本当は美大にいきたかったあなたの才能発見