私は漫画家を目指していたのでアシスタントしながら公立の美大の工芸科を出て修士を卒業し、大手印刷会社を7年つとめ退職して2年ガラス工芸作家をやり、化粧品会社で12年ディレクターと商品開発を経験しました。
子供の時から今までに、水彩でも染色でもディレクターでも漫画でも受賞し、海外ふくめ合計13回ほど受賞しました。
それと同時に11年前から、ドイツの自然補完療法ホメオパシーを本場の先生に習い、働きながらホメオパスを兼業して12年つとめた会社を辞め、0からブログを立ち上げ48歳でホメオパシー専業で独立しました。
現在は、症状と心の問題を解決するホメオパシーの専門家として活動していますが、こんな人生だったせいか?
30代でも40代でも「諦めた夢にもう一度挑戦したい」というご相談を受けて実際にみんな夢を叶えるお手伝いをしています。
私は将来心の専門の仕事をする資質がそもそもあったせいか?若い時から「本当は美大に入りたかったんです」という相談を何度も何度も受けて来ました。
その経験から、プロとして彼らの本音がわかったので「気づくべきこと」と「やるべきこと」をご説明します。
この記事は
- 「美大に行きたかったけど行けなかった」と今も思っている方
- 「美大に行きたかったんだけどね」と人から言われて困っている人
におすすめです。
1.親友に相談しないで美大生に言っている時気づくべき事
代
これを親友ではなくさほど親しくない美大生にいっている場合は、嫉妬と言い訳の気持ちがあります。
友達や進路の先生や親にこの内容を相談する人は、本当に自分の進路変更について悩んで相談しています。
けれど、私がこの相談を受けるのはいつもあまり親しくない人からでした。
バイト先の人、会社の後輩、習い事で一緒だった人、会社に派遣で入ってきた担当外スタッフ、知り合ったばかりのヒーラーと、相談に乗るような間柄ではない方が言ってくるのです。
彼らが「美大に行きたかった」と言う時は、どこかでまたは私の自己紹介から私が美大生だったと知ったタイミングで言うのです。
彼ら彼女らは自分の進路について「やりたかったことを叶えている人」にアドバイスを求めているのではありません。
彼らの本音は「実は自分は美大に合格する能力があったにも関わらず」
「あなたより環境に恵まれなかったせいで自分は才能を発揮するチャンスがなかった」と、美大に入学できた人に向かって言い訳をしているのです。
2.美大を受験したり入学できなかった原因は本当にそれでしょうか?
美大に行けなかった理由は「親に反対された」「お金がない」「タイミング」ですが、よく考えるとあまり原因ではないのです。
●私の時代には女が美術をやるなんて親が許さなかった
●親がエリートなので不安定な美術学校の進路に進むことを許してくれなかった
●下手に勉強ができたから学歴を追いかけるように言われ、不良になるからと美大に行くなど親が許さなかった
●美大に行きたかったけど家にお金がなく諦めざるを得なかった
●本当は行きたかったけどタイミングを逃して受験の用意ができなかった
●通えるところに美大がなかったからやむなく諦めた
大体こんな理由に分別されました。
美大に進学できた人とできなかった人の違い
ところが、美大に実際入学するとこんな人が山ほどいるわけです。
●親に勘当同然で入学してきた
●何度も何度も親を説得してやっと許してもらえて入学した
●1~4年浪人してやっと入学した
●一旦親が納得する大学に入ってからダブルスクールで画塾に通って浪人して美大に再入学した
●一旦大学にはいって数年バイトでお金をためて自費で美大に再入学した、今もバイト生活
●家に全くお金がないからど奨学金でぎりぎりの暮らしです(私が通っていた美大は公立だったので当時学費が半期で18万ほどでした)
つまり、美大に入学できた人は「本当は美大に行きたかった」と言っている人が「行けなかった障害」として挙げている要因がなかった人もいますが、同じ障害があっても「それを乗り越えるだけの情熱で、できるまで取り組んだ人」なのです。
つまり、反対にあなたは「障害を乗り越えるほどの熱意がなかった」だけなのです。
3.「本当は美大に行きたかった」人は美大生がアドバイスをしても聞かないしやらない
理由は情熱よりプライドのほうが高いからです。
「美大に行きたかった」人の相談に乗っていた当時、私は彼らが恵まれなかった環境や理解してもらえなかった親に対して同情の気持ちと、恵まれていた自分の環境に負い目がありました。
なので彼らの言葉をそのまま信じて、なんとか彼らが美術などの仕事につけるようにアドバイスをしました。
・デザインや美術をやっている人を紹介して引き合わせてあげようとしたり、
・今からいけそうな美大を教えたり、
・美大に行かなくてもデザインの仕事に就く方法をアドバイスしたり、
・美術の展覧会に一緒にいこうと誘ってみたり、
・どうしても自己流だから絵が下手だという人にはデッサンを習う場所を教えたり、
・美大にいけず専門学校しかいけなかったというデザイナーには、クライアントの私が教えてあげながら高額デザインの発注をしてあげたり、
ところが、彼らは「再度デザインの勉強をやる」こともしないし「頑張ってデザインや美術の仕事につくこと」もしないし「もっといい仕事をしようと自分を高めること」もやろうとはしないのです。
しかも、親切にしても文句をいうことはあっても感謝すらしません。
今から遅れている分を取り戻す努力をするほどの情熱もないのに、プライドだけは高いからやってみて失敗するのが嫌なのです。
4.美大を卒業しないと美術、デザイン、広告の仕事ができないのは嘘
できますよ・・・・・。
確かに大手デザインが売りの企業のクリエイティブ局に入れるとか、大手広告代理店のクリエイブに就職できるとは思いませんが、クリエイティブ局と仕事しているようなデザイン会社かその下請けに潜り込むことなら可能でしょう。
デザイイナーになりたいなら、デザイン会社はブラック企業が多いですが、若くてどんな下積みでもいいからやります!といってパシる気概があればデザインに関わる仕事にはなんとかありつくことは可能ですし、ノーキャリアで入社した人はいっぱいいます。
大手印刷会社だって、制作の手伝いの仕事で入ってディレクターになることは可能です。
印刷会社なら美大でもなんでもなくてもディレクターとして美大卒の人に混ざって同じ仕事している人いますし、その後大手広告代理店に転職して行った人もいます。
美大卒でもない人が印刷会社のディレクターからデザインを勉強してデザイナーになった人います。
美術なら自分で絵を習って出展しつづけたりイラスト発表しつづければいいわけですし。
美術工芸なら後継者がいないんだから、修行にはいって一からやれば働き口はあります。
もちろん35歳くらいになって全く素地もないのに「いまからデザインの仕事に就職する」というのはちょっと辛いでしょうが、一生かけて工芸の修行するなら人手がないんだからあると思います。
自分は美大ではなくって専門学校しか出てないからチャンスがないんだと拗ねる人がいますが、専門学校中退しても、デザイン会社で頑張って有名デザイナーになってる人もいます。
大切なのは、あなたが「美大にいったらできていたはずだ」とかいまだに言っている「本当はやりたかったこと」はデザインなのか?工芸品なのか?純粋芸術なのか?なんか手作りできてたらいいのか?をはっきりさせることでしょう。
けれどたいていそれははっきりしていないんです。
美大にいきたかったーとか言っている人は「この仕事がしたいからどんな方法でもいいからデザインや美術に関わりたい!」のではなく、
「大学に入学していれば安定して美術っぽい仕事につく権利が手に入ったはずなのに~」と、自分の熱意のなさを進路選択のせいにしているのです。
5.美大に入るメリットとデメリットと就職の現実
実は美大は入学が難しく、卒業も大変なのに、就職後は保障もメリットも少ないのです。
たしかに大手広告代理店のクリエイティブ局などの難しい職に就く一定の権利は手に入りますが、そのレベルなら美大ならどこを卒業していてもいいわけではありません。
それに美術の基礎力をつけるにもそこそこデッサンを描かないと合格しない学校をでていないと実力は身に付きませんし、反対に身に着けたいなら自分でデッサン教室通えば勉強はできます。
美大に入学するメリットは
- 美術の基礎力がつく
- 美術やデザインといった職能で就職しやすい
- 美に関わる仕事をするときに一定の箔がつく
- 歴史ある学校だと卒業しても同学卒の人に助けてもらいやすい
- 大手広告代理店のクリエイティブ局などにはいれる受験権利が手に入る
- 同種の仕事をしている人達とのネットワークを築きやすい
デメリット
- 私立だと学費が高い
- 個性の集まりなので、大学の人間関係が大変である
- 入学するのが大変で卒業するのも大変なのに一切進路の保証がない
- 進路のつぶしが効かない
- 1企業数人と需要が少ないため大手企業への就職は困難を極める
- 入りやすい企業は零細でブラック企業が多い
- 大手企業にはいれてもデザイン部ごとなくなるリスクがある
- 希望の業界や企業には入れても倒産リスクが高い
- 大手企業でデザインの仕事に就けても左遷されるのも早い
- 独立してデザイナーになれても職が安定しない
- 仕事の需要自体が世間からなくなる可能性がある
- キャリアを重ねることがキャリアアップと必ずしも一致しない
つまり、美大進学を諦めた理由の「不安定だから親が反対した」のはその通りで、美大就職は茨の道です。
私はバブルがはじけた時期に卒業したのでとくに讃嘆たる状況でした。
就職したい企業が今年は新入社員を募集していない、
内定が決まっていた美術陶板の会社が就職する前に倒産した、
少し前花形だったディスプレイ業界が一気に廃れ、就職が決まったあとでデザイン部署がなくなった、
乗用車のかっこいいデザインしたくて就職したのに耕運機以外は作らない方針になった、
なんてケースもありました。
その後も、大手の安定したデザイン室にいても年がいけばいくほどデザインは古くなりますので、トップデザイナーになれなければ早々に倉庫担当になっていたりと、普通の職業で就職するより職能の継続は難しく、企業内での安定度はずっと低いのです。
また、美術は経済の後回しにされがちなので「やりたいと思っていた仕事や部署自体が世間からなくなる」なんてことすらいくらでもあります。
ですので私の同級生は18人ほどいましたが、会社が倒産し全くデザインに関係がない仕事に就かざるを得なくなった人、
修行してすごい工芸の技術を身に着けても仕事がなくて美術に関係がない仕事をしている人、
大手に就職したけど左遷されて美術に関係がない仕事をしている人、
37歳くらいの頃にはすでに同級生のほとんどが美術に関係がない仕事についているか?女性はほぼ家庭にはいっていました。
また、美術作家の仕事はしているけど同窓会の1万円がなかなか払えないという経済状態の人もいました。
つまり、美大を卒業したら一度は美術の仕事につけても、お金も仕事の保証も全くない茨の道であることに違いはないのです。
6.困難があっても美術やデザイン作家の仕事を継続している人は何をしているのか?
一方、デザインや美術の仕事を継続出来ている人は、以下のような努力をしていました
結婚や家族の問題で困難があってもデザインの仕事を辞めなかったのがやがて形にになってきた
- 就職できなかったので自力でこつこつ作家活動を続け、やがて講師の職を得た
- 徹底的に展覧会に出品し続けた
- 作品をもって売ってくれる店をまわり交渉し続けたら少しづつ置いてくれる店が増えた
- 不安定な作家生活を続けるために臨時講師を続けていたらやがて教授になれた
- 会社でデザイン職ができなくなったら、作家として休日に活動をはじめた作品が売れ始めた
- 会社で安定した給料をもらいながら作家活動を続け賞をとった
- お金を溜めてから思い切って会社をやめて作品をつくるための年月をつくって作家として活動し実績を出した
- お金がなくなったり家族が病気になっても「作ることを続ける」ために住む環境や仕事も変えてきた
- 継続しているうちに助けてくれる仲間ができてきた
- 自分の「表現したい」気持ちを理解しているパートナーと結婚している
- 「作る」ことを反対していた夫や家族が、やがて協力してくれるようになった
継続できている人は「諦めず継続した人」だし、反対に美大を出ても厳しい環境だから諦めれば終わりは一緒なのです。
7.ネット、ブログSNSやYouTubeがある今なら美大など卒業しなくてもチャンスは無限
ところが、昨今は情報を手に入れることも、自分の発信を世の中に広めることもうんと簡単になり、とてもクリエイティブを発揮しやすい平等な時代になりました。
なので、ブログやYouTubeでデッサンの書き方から、illustratorやPhotoshopの使いかたから、デザイン見本から、簡単なチラシの作り方から、工芸の作り方から、美術とはなんぞや?の情報からありとあらゆる情報が昔より簡単に手に入るようになったので美大にいかなくてもいくらでも無料で勉強ができるようになりました。
また、全くの未経験でもちょっとしたデザイン能力がある人が個人でネットを使っていくらでも教える商売をしていますから、ちょっとデザインできる人に習って、もう少しデザインできる人に習って、最後は通学でプロに習う、とランクアップすることも可能です。
また、ネットでの勉強なら時間も場所も選びませんし比較的安価です。
ただし、教えている人は素人でも教えることで稼ごうとして「自分はプロや~」と大体書いていますから、未経験者は騙されやすくはありますが、美大に入るほどの学費がなくても身近なレベルの先生からテクニックを教えてもらえるチャンスはいくらでもあります。
また、インプットだけではなくアウトプットもいくらでもできます。
実際ちょっとしたWEBデザインやバナーなら全くの素人からデザインの仕事をしている人はいくらでもいるし、ココナラやクラウドワークスで仕事をとることだって可能で、そこで美大卒かどうかは問われません。
もっとクリエイティブなことをしたいなら、自ら作品を作ってブログやSNSやYouTubeで発表しすることも可能、ネットショップで商品を売ることだって簡単です。
実際、ブログで発信してファンがついたり出版社から声がかかったり、作品がよければ海外のファッションメゾンから声が罹った人までいるくらいです。
つまり「本当に表現したいもの」があるなら美大など出ていなくても、今はいくらでもチャンスがあるから学歴なんて関係がないのです。
8.もし本当に「美大に行きたかった」のなら今すぐやるべき3つのステップ
STEP1.自己認識のずれを正す
もしまだ「親のせいだから美大にいけなかった」「わたしは環境に恵まれなかった」そんな言い訳をしている人は「その時頑張って説得するだけの熱意がなかった」が本当の理由だとさっさと認めてしまいましょう。
そしてもう一つ「自分はそのときリスクをとらなかった」という選択を自分がしたと気づくべきです、自分はそのとき挑戦から逃げたのです。
STEP2.美大に入学してやりたかったことをはっきりさせる
そのうえで、「美大にいったらやりたかったこと」は一体なんなのか?をはっきりさせます。
デザインの仕事に就くことなのか?自分なりのクリエイティブがやりたいのか?はたまた実は親への反抗心からぼんやりと「美大にいきたい」とか言ってみたかっただけなのか?
美大といっても純粋美術がやりたいのか?デザイナーになりたいのか?によって「やること」は全く違うのでそのあたりをはっきりさせましょう。
STEP3.やりたいことに近い進路について具体的に行動する
それが見いだせたら、希望に近い仕事を手に入れる方法としてココナラに登録するのもありでしょうし、仕事ではなくクリエイティブの発信がしたいなら今すぐ何か表現してどんどん発表すればいいのです。
とにかく必要なのは「美大を出ていないからできない」のではなく、いまからでもすぐできることを始めるべきです。
発表できるレベルではないと感じるならとにかく、作って、作って、作りまくって腕を上げることですし、美術やデザインの本を読みまくってもいいでしょう。
9.最後に「あなたは本当に美大に行きたかった」のか?
以上のように、美大にいって最後までクリエイティブに関わっている人は「3度の飯より作ることが好き」で「そのための努力を怠らない人」です。
会社のデザイン部から異動になろうが、美術の仕事を継続するだけのお金がなかろうが、なにがなんでも「作ること」を諦めなかった人です。
デザインの大好きな友達は、暇さえあれば似顔絵描いて常になにかを表現しています。
本当に画家になった友達は「すごいね」といったら「だって俺これしかできないもん・・・・」と言っていました。
家族が病気になったり、仕事を失っても何度も作ることを続けるために住む場所も変えて作家として成長している友達がいます。
ある有名な人間国宝の方の工房に行きましたが、病気で手が動かなくなったら、動く手で描ける新しい作風を作り出そうと命を削って努力を死ぬまで続けています。
「美大に行きたかったんですよ」といいながら今何かを表現することをしていないなら、あなたはきっと「そもそも美大に行くほど美術に興味がなかった」のです。
「実は周りに反対されたせいで美大に入れなかった」という考えはただの思い込みで、
「能力はあったのに美大にはいれなかったせいで自分の才能を発揮できなかった」というのも勘違いで、
「そもそも入学できるだけの才能も熱意もそこまでやりたい気持ちもなかった」のを環境のせいにして恨み言を吐いていませんか?
「もしも・・・だったら」でもしか話ってかっこ悪いです。
私はそもそも「人間の生きざま」に興味があって漫画家になりたくて、そのためにと美大に進学しました。
ところが美大を受験クリアするのも大変なら卒業するのも大変。
就職活動はもっともっと驚くほど大変で、卒業した後はその頑張りに対する保障が全くなく、仲間もみんな茨の道の人生でした。
けれど美大生のときから「女性とは」をテーマにした作品をつくりつづけ、女性のための企画をしたいと望み企業でその進路をとり、最終的には「人間のいきざまそのもの」を修正して「やりたいことができるように人生を修正する」ホメオパスとして働くことに辿りつきました。
つまり、私の場合もちろんつくることは今も好きですが、それそのものが最もやりたいことではなく、一番最初に感じた「人間の生きざま」がもっとも携わりたかったことだったのです。
そこに辿り着くまでには「なぜ美大なんだ」「なぜ大企業をやめるんだ」「なぜ安定した仕事につかないんだ」「なぜ儲からない作家をやるんだ」「なぜ今結婚せずに作品なんかつくるんだ」「そんな仕事儲かるの?」と何度も何度も揶揄され学校の先生にもアッと驚く酷いこともされれば酷いセクハラも差別も受けて来ました。
それでも、何十年も悩み苦しみ、たくさんの差別を受けて紆余曲折を経ても無視できない「やりたかったなにか」がありそれを手放さなかったから辿りついたのです。
それくらい「自分のやりたいこと」は一生をかけて取り組むもの「一大行事」といえるでしょう。
だからあなたが「美大に入れなかった」だけで人生を諦めるのは早すぎるんです
あなたが自分を誤魔化しているのではなく、
本当に才能があればそれはいくつになっても開花させることは可能です!